ハルの読書と勉強録

読書の記録や勉強の覚書です。

【読書録】学びを結果に変えるアウトプット大全 / 樺沢紫苑

学びを結果に変えるアウトプット大全を読了しましたので、一部を読書ノートにまとめます。

書籍の紹介

精神科医でもある著者が、 自身の実践や経験、学術的なエビデンスを交え、 効率的な学習とアウトプットについて解説しています。理論や効果から、具体的な実践方法まで紹介されており、学習方法に関するとても良い一冊です。

読んだきっかけ

効率的な学習方法が知りたい

仕事と家事・育児をやりながらスキルアップしようと思うと、時間・体力共に思うようにいかないことが多々ありました。

捻出できる時間は限られているので、学習の質を上げる必要を感じました。

アウトプットがしたい

他者に共有できる形で纏めることは、自分だけでなく誰かの役に立つ可能性があり、繋がるきっかけにもなります。

そのため、学習したことや疑問点などを気軽にアウトプット(他者へ発信)できるようになりたいと思っていました。

学習方法について述べられた書籍は多々ありますが、アウトプットまで書かれた書籍は珍しいと思い、手に取りました。

私的まとめ

アウトプットしないと忘れる

本書のアウトプットの定義は、「話す」・「書く」・「行動する」です。

特に大人の学びに関しては、「アウトプットしないと忘れる」と断言しています(強烈な印象などを伴う場合は除きます)。

単にインプットの量だけを増やしても、アウトプットしない限りは記憶に定着しない。本を10冊読むよりも、3冊読んで3冊ともアウトプットする方が良い。

そのため、効率的な学習には、アウトプットは必要不可欠としています。

20歳を超えると、神経ネットワークの爆発的成長は終了します。アウトプット中心の学びに切り替えないと、まったく記憶に残らないし、 経験値として積み上がりません。

樺沢紫苑. 学びを結果に変えるアウトプット大全 .サンクチュアリ出版.

「気付き」を記憶に残す

「気付き」とは、「そういうことか!」と気付くことを指します(アハ体験)。

脳科学者の茂木健一郎氏は、気付きを得た際には脳内に新しい神経回路が形成されると述べています。

しかし、この回路は30秒や1分ほどでなくなってしまうため、気付きを得た際にメモをする―――神経回路を補強し、記憶に定着させることが重要とされています。

つまり、アウトプットしなければ、何もない状態に戻ってしまう可能性が高くなります。

本書では、本に直接書込みをしながらの読書を推奨しています。

(私は本を綺麗に使いたいので、必要な時は付箋を使っています。もしくはKindle電子書籍にしてしまって、ハイライト機能を使います。ただ、本書では手書きの方が運動性の記憶としても残りやすい点があり、書き込みが推奨されています。)

脳内の道路網(神経回路)を舗装、拡大していくことが、あなたの「自己成長」そのものです。その最初の一歩が「気付き」。

樺沢紫苑. 学びを結果に変えるアウトプット大全 .サンクチュアリ出版.

また、長期的に記憶を残しやすくるためには、「インプットから2週間以内に3回アウトプットする」ことが一つの目安と述べられています。

気付きをメモして、気付きを交えて複数人に話すだけも十分効果があるということになります。

成長するためにはフィードバックが必要

フィードバックとは、アウトプットによって得られた結果を評価し、その結果を考慮して、次のインプットに修正を加えるという作業です。 見直し、反省、改善、方向修正、微調整、原因究明。すべてフィードバックです。

樺沢紫苑. 学びを結果に変えるアウトプット大全.サンクチュアリ出版.

アウトプットした際には、必ず疑問点や不明点などが生じます。

関連情報を調べる、疑問点を掘り下げる、成功・失敗の理由を考えるなど、フィードバックをしっかり行ってから次のインプットを行うことが、成長のカギとされています。

経験や知識のある人から教えてもらうこともフィードバックですが、特にアウトプットに対してフィードバックをしてもらうと大きく成長できると述べています。

受動的な学習ではなく、学んだことを自分で考えて何らかの形にしていくことが重要と言えます。

また、感想や気付きを話す際にも、自分なりの考えを伝えたり、深め合ったりすることを意識するだけで、より良いフィードバックを得られることになります。

睡眠と運動、そしてストレス

睡眠

学習や仕事効率と睡眠時間については、様々な書籍でその重要性が記されています。

本書では睡眠時間の定義を6時間未満(書籍内では2例の研究を提示)とし、前提条件として7時間以上の睡眠は必須と述べています。

また、喫煙よりも健康に悪い(関連する疾病リスクや死亡率が高い)というデータも提示しており、睡眠時間の確保は最重要事項と言えます。

しかしながら、私の知り合いには、毎日4時間程度の睡眠でほとんど体調も崩さず、ベストな状態で活動できている方もいらっしゃいます。

別の書籍(人生の主導権を取り戻す「早起き」の技術.古川武士.大和書房)には、体質や遺伝、仕事の性質などにより個人のベストな睡眠時間は変わるため、睡眠の記録を取り、それをもとに判断することを推奨しています。

同書籍には6~8時間の睡眠が必要な人が多い(人口比で87%)とのデータが示されており、7時間以上の睡眠を試す価値は十分にあると思います。

1日7時間の睡眠を、どんな仕事よりも優先しよう。

樺沢紫苑. 学びを結果に変えるアウトプット大全.サンクチュアリ出版.

運動

脳細胞に関して、記憶に関わる海馬では、毎日新しい神経細胞が生成されていることが紹介されています。

そして、その神経細胞の新生を促進させる物質は、有酸素運動によって分泌が促進されると述べられています。

1 回 1 時間程度の有酸素運動を週2回以上行うと、脳を活性化する効果が十分に得られます。また、わずか20分の運動でもドーパミンが分泌されるため、運動直後から集中力、記憶力、学習機能、モチベーションのアップが認められます。

樺沢紫苑.学びを結果に変えるアウトプット大全.サンクチュアリ出版.

ご存知のように、運動習慣は健康や美容にも効果的です。

週に1回でも、まずは20分を目指して生活に取り入れるだけでも、大変有益ではないでしょうか。

ストレス

長期にストレスがかかると、前述の神経細胞の新生が抑制され、記憶力低下を引き起こすことも述べられています(コルチゾールの分泌による)。

そのため、ストレスをコントロールする―――より正確にはコントロールできると感じることが重要です。

本書では随所にストレスの対処方法について紹介されています。

  • 泣く(感動系の映画を観るなど)
  • 悪口を言わない
  • 人に相談する(辛いことや苦しいことを話す)
  • 楽しさを発見する
  • 笑顔のトレーニングをする(笑顔になる)
  • 睡眠を十分にとる

特に興味深かったのが、悪口に関する内容です。

悪口をいうのは、「ストレス発散」を目的にしているのかもしれませ んが、悪口をいうとストレスは増えることが明らかにされています。

樺沢紫苑. 学びを結果に変えるアウトプット大全 . サンクチュアリ出版.

悪口を言うと、前述のコルチゾール(海馬の神経細胞の新生を抑制する物質)が分泌されると述べられており、「百害あって一利なし」と述べています。

書籍内で引用している研究では、認知症のリスクが3倍になり、長期のコルチゾール高値は免疫力を低下させ、様々な疾病にかかりやすくなると報告されています。

更には、人間関係の悪化やネガティブ思考(相手の悪い所を探しやすくなる)に陥る危険性を指摘しており、悪口を言わないことを強く推奨しています。

(ネガティブな感情はノートに書き出すことを提案されています)

私の周りでもいわゆる愚痴会のようなものがありますが、参加しないに越したことはないですね…(私は大変苦手です(^^;))。

効率的な学習とアウトプットのコツ

本書で紹介されているコツの一部を簡単にまとめると以下のようになります。

  • 読書やセミナーなどの前に、自分に「何を一番学習したいか」を問いかける(インプットすることに注意を向かせる)
  • きちんと断る(付き合いだけの飲み会など)
  • 時間を決めて取り組む
  • ポジティブなアウトプットを行う
  • インプットしすぎない(インプット:アウトプット=3:7)
  • 継続する

ここでは「きちんと断る」について掘り下げます。

「断る」ことは、時間を生み出すために必要不可欠ですが、判断が難しいと感じる人も多いかと思います。

本書では上手に断るために、以下のように提案されています。

自分の人生の中での「優先順位」を決めておくことです。

樺沢紫苑. 学びを結果に変えるアウトプット大全 . サンクチュアリ出版.

「断る」判断は、「優先順位」に照らし合わせて、常に同じ基準で断ってください。「今回だけ特別に頼むよ」という言葉には決して乗らないこと。

樺沢紫苑. 学びを結果に変えるアウトプット大全. サンクチュアリ出版.

自分の優先順位・判断基準に従い、断る際は迷わないことを推奨しています。

ネガティブな気持ちで取り組むことは、作業効率が低下し、大切な時間も消費し、ストレスを抱えることになります。また、相手にとっても迷惑になりかねません。

緊急の対応など、やむを得ない場合があるかもしれませんが、自分の時間を自分で管理し、コントロールするためにも、上手に断ることは大切だと思います。

アウトプットの目的(まとめ)

アウトプットの目的は、「行動を変えて、自己成長すること」です。

学んだことや自分の意思をしっかりとアウトプットする―――行動することで、自分で未来を創り上げていくことができるように思います。

また同時に、 アウトプットのプロセスは、自分とは何者かを認識することだと感じました。

私自身含め「軸がない人」は、実はアウトプット不足なのかもしれません。

更に、アウトプットは他者に対して自分の能力や興味などを提示し、存在を示すことでもあります。

それは自分の能力が必要な人の助けや、新たな仲間との出会い、コミュニケーションのきっかけになります。

また、正当な評価や信頼を得ることにもつながると思います。

例えアウトプットした情報が間違っていたとしても、多数の人に触れられるようにしておけば、誰かが指摘・修正してくれる可能性が高まります。(とても良いフィードバックですよね)

理想論ではありますが、より良い人たちと繋がり、共に成長し、自分の学んだことやできることで誰かの役に立てるのであれば、とても彩のある人生になるように思います。

まずは小さなアウトプットから少しづつ積み重ねていこうと思います。

紹介しきれなかったこと

本記事の内容以外にも、教育に関することや文章のまとめ方、隙間時間を利用したアウトプット方法など、有益な情報がたくさん記載されています。

気になった方は是非一度、書店などで探してみてください。